columnひとみの本棚

おだやかな陽ざしの中、元気に飛び戻ってくるミツバチの羽音を巣箱のそばで聞いたことがありますか? ミツバチやその他のハナバチ類は、日本はもとより世界の多様な自然の中で、その環境を保全し、人々の暮らしを豊かにする働きを担っています。
「Harmony on Diversities」いろいろな植物と動物が、本来のいき方をつづけ、豊かに持続的に、響きあいながら命をつないでいける環境。ミツバチもそんな環境を求めています。ヒトとの関わりがどの昆虫よりも長く多様な、ミツバチとその養蜂について考えてみましょう。

榎本ひとみ
アジア養蜂研究協会(AAA)設立時より21年間事務局コーディネーターを務め、アジア各国(オセアニア、中東を含む)で1994年より隔年開催された大会の準備などで、各国関係者と交流、多様な養蜂事情を学んだ。現在は役員。またAAA会報「Bees for Development Journal」や玉川大学ミツバチ科学研究センター発行の季刊誌「ミツバチ科学」などを通じて、欧米の関係組織とも交流、国際養蜂協会連合(APIMOMDIA)国際養蜂会議に数回出展、参加した。

7月14日, 2019年

養蜂作業の友 燻煙器 その2

 燻煙器の点火方法:燻煙材料の基本は天然素材で,油脂,殺虫剤,保存料などが着いていないものをえらぶ.燃焼缶の底部で点火する.良く燃え始めたら燃料を少し追加し,ふいごを吹いて燃え上がらせる一方,燃料をさらに追加する.底部から1/3ほどまで燃料が入り,ふいごの風で調子よく燃え続けているようなら,燃焼缶が一杯になるまで,燃料をげんこつでぎゅっと押し込み,さらにふいごを吹く.燻煙器のノズルから冷たい,白い煙が大量に出てくるまで,風を送り続けよう.

 燻煙器ではかならず缶の底部から燃焼を始めること.4×10インチサイズの燻煙器は燃料が適正に詰め込まれていれば,2,3時間もつだろう.まず点火して,燃えさしができたところで,燃料を容器一杯に追加する.燃焼材料として私は松葉を使う.道路上で車に踏みつけられたものがおすすめだ.何回も車がその上を走れば,松葉は柔らかくしなやかになり,燃焼缶部分にしっかり詰め込める.点火も容易で,使い勝手がはるかに良い.同様に芝刈り機がその上を走り,袋に回収された松葉も柔軟になっている.
 燻煙器を使い終えたらノズルの先にコルク,ぼろ布等を詰めて,消火する.こうしておけば,消し炭が残るので,次回速やかに点火できるだろう.火床の下に落ちた燃料は必ず除去しておくこと.
 燻煙材料は多彩にある.基本は天然素材で,油脂,殺虫剤,保存料などが着いていないものを使う.松葉,サクラ,ヒッコリー,その他広葉樹の枯れ木(腐敗した材),削りかす,黄麻布,などはどれも具合が良い.乾燥させた草や干し草を使う養蜂家もいる.燻煙材料は養蜂器具店で入手できるだろう.着火剤,ガソリン,その他可燃性液体を使ってはいけない.
 松葉や他の木材を燃やせば,素材中の樹脂から木クレオソートが生成されるだろう.目立つようなときは,プロパンガスのバーナーで炙れば,ハイブツールかのみで削り取れる.