columnひとみの本棚

おだやかな陽ざしの中、元気に飛び戻ってくるミツバチの羽音を巣箱のそばで聞いたことがありますか? ミツバチやその他のハナバチ類は、日本はもとより世界の多様な自然の中で、その環境を保全し、人々の暮らしを豊かにする働きを担っています。
「Harmony on Diversities」いろいろな植物と動物が、本来のいき方をつづけ、豊かに持続的に、響きあいながら命をつないでいける環境。ミツバチもそんな環境を求めています。ヒトとの関わりがどの昆虫よりも長く多様な、ミツバチとその養蜂について考えてみましょう。

榎本ひとみ
アジア養蜂研究協会(AAA)設立時より21年間事務局コーディネーターを務め、アジア各国(オセアニア、中東を含む)で1994年より隔年開催された大会の準備などで、各国関係者と交流、多様な養蜂事情を学んだ。現在は役員。またAAA会報「Bees for Development Journal」や玉川大学ミツバチ科学研究センター発行の季刊誌「ミツバチ科学」などを通じて、欧米の関係組織とも交流、国際養蜂協会連合(APIMOMDIA)国際養蜂会議に数回出展、参加した。

6月25日, 2021年

ハチミツは咳や風邪に良く効くと確認 その1

 のどが痛いとき,軽い咳が出るとき,ハチミツ入りの温かい飲み物は良いですね.ハチミツに抗菌性があることは,知られています.昨年オックスフォード大学で行われた大量の医学データを再調査する研究から,ハチミツが市販の風邪薬などよりも,咳や風邪の症状緩和に効果的であることが確かめられました.

写真はカナダ ケベック州の養蜂場で行われた試食会の様子です.この周辺地域でこの養蜂場の蜂が集め,この建物内で瓶詰された季節ごとに違う数種のハチミツが用意されていました.

英国,オックスフォード大学の3人の研究者がおこなった メタアナリシス(過去に独立して行われた臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説)から,風邪や気管・咽頭の炎症など上気道感染症(URITI)の初期治療にはハチミツが効果的であることが確認されました.これらURITI(軽い咳や風邪)に対して抗生物質は効果がなく,ハチミツの方が症状の緩和に役に立つことが,データから明確に示されたのです.

ハチミツは大昔から人の暮らしとともにありました.世界各地で民間療法として、その効能が伝えられており,咳やのどの痛みはもちろん、地域によってはやけどや切り傷の治療にも使われています.ハチミツに抗菌効果があることは特に新たな事実というわけではなく,2018年に英国国立医療技術評価機構は医療関係者への新たな推奨指針で,軽い咳や風邪症状の患者には抗生剤投与の前にハチミツを処方すべきであるとしていました.この新しい指針は,不必要な抗生剤投与の削減をめざすという背景がありました.抗生物質は使いすぎると副作用や抗生物質に対する耐性につながる可能性があるからです.