columnひとみの本棚

おだやかな陽ざしの中、元気に飛び戻ってくるミツバチの羽音を巣箱のそばで聞いたことがありますか? ミツバチやその他のハナバチ類は、日本はもとより世界の多様な自然の中で、その環境を保全し、人々の暮らしを豊かにする働きを担っています。
「Harmony on Diversities」いろいろな植物と動物が、本来のいき方をつづけ、豊かに持続的に、響きあいながら命をつないでいける環境。ミツバチもそんな環境を求めています。ヒトとの関わりがどの昆虫よりも長く多様な、ミツバチとその養蜂について考えてみましょう。

榎本ひとみ
アジア養蜂研究協会(AAA)設立時より21年間事務局コーディネーターを務め、アジア各国(オセアニア、中東を含む)で1994年より隔年開催された大会の準備などで、各国関係者と交流、多様な養蜂事情を学んだ。現在は役員。またAAA会報「Bees for Development Journal」や玉川大学ミツバチ科学研究センター発行の季刊誌「ミツバチ科学」などを通じて、欧米の関係組織とも交流、国際養蜂協会連合(APIMOMDIA)国際養蜂会議に数回出展、参加した。

6月09日, 2021年

今,アメリカでもっとも好まれる甘味料はハチミツです その1

速報 ハチミツが白砂糖を抜いて,アメリカで最も好まれる甘味料になりました.ハチミツは健康に良く,自然な,基本的調理素材として認識されて,先例がないほどの強い需要が出ています.

米国のナショナルハニーボード/ハチミツ全国委員会(NHB)が2020年の年間報告でこの快挙を伝えました.NHBは消費者にハチミツの利点とその使い方を,学術的裏付けのある情報や市場調査と販売促進プログラムをつうじて伝えることを目的に,ハチミツ関連企業が設立した農業振興団体です.

CATCH THE BUZZ  MARCH 16, 2021より

10名のナショナルハニーボード(NHB) メンバーはハチミツを生産する養蜂家,パッカー(包装出荷業者),輸入業者,およびマーケッティング業界の代表で構成され,合衆国農務省から任命されます.国産および輸入ハチミツの扱い高に応じて企業から提供される資金に基づいて,消費者や外食業界,食品業界に対してハチミツへの理解向上と,利用促進を働きかけます.詳細は: www.honey.com.

NHBは2020年の年間報告をビデオ形式で発表しました.(https://www.youtube.com/watch?v=-8viraBAa88).栄養専門家による広報活動,ミツバチの健康にかかわる学術研究,それに小売業者,食品業者,消費者,および成分関連業界に対する働きかけの実績を報告.対面販売とオンラインショップ通販での販売促進事業や広報活動,バーチャルハニーサミットの開催など,ハチミツ業界とNHBにとって2020年は,コロナウイルスまん延による多くの困難発生にもかかわらず,力強い動きの一年でした.

なかでも2020年の特筆すべき業績は,アメリカの消費者に最も好まれる甘味料としてハチミツが選ばれたことでしょう.砂糖を押さえての1位獲得は初めての快挙だそうです.NHBは2020年消費者の嗜好と利用研究調査を実施し,上白糖,黒砂糖,数種類のノンカロリー甘味料など,よく使われている甘味料の中から自分の好きなものを選ぶように求めました.その集計でハチミツが首位を獲得したわけです.

この調査ではほかにも注目すべき事実があります.ハチミツは健康に良く,自然な,基本的調理素材として認識されて,先例がないほどの強い需要が出てきたのです.ハチミツは居心地の良い,家庭的雰囲気をもたらす食品であり,これを家族の食卓に供するのは良いことだ,と消費者は確信しています.2020年の好調な小売り売り上げが,それを如実に示しているようです.