「ミツバチの卵は約0.1mg,一齢幼虫も同じ体重だ.それからの6日間で蜂児は0.1mgから約120mgに生長する.蛹化前に一度だけ脱糞し,羽化して出てきた成蜂の体重は約110mgである.つまり出蜂児は1日齢幼虫の約1000倍重くなっている.」
カリフォルニア大学デイビス校の著名な養蜂技術指導者エリック・マッセンがミツバチ幼虫の爆発的体重増加について,しばしばこう述べていると大学昆虫学部広報ブログBug Squadにでていました.ご覧いただいているのはそのブログにあったミツバチの卵(その1)と,発育中の幼虫(その2),出蜂児(その3)の写真です.
これを聴いた学生はいつも「わお! すごいぞ!」「素晴らしい!」と大興奮.
すると先生はすかさず次を述べて:「もしも誕生時の体重が3.6kgの人間の赤ん坊が蜂児と同じ割合で太っていったら,6日後には4tになる計算だね」.
なんと恐ろしい、驚異的な数字でしょう.なにがこの爆発的生長を可能にしているのか,あなたはご存じですか? それは育児蜂による昼夜兼行の給餌です.働き蜂の日齢分業でいうと,有蓋巣房のなかで蛹になり,やがて羽化して蓋をやぶり巣板上に出たばかりの出蜂児はまず巣房内の掃除から仕事をはじめます.つぎに育児蜂として頭部の分泌腺からローヤルゼリーを出して女王蜂や幼虫に与えます.日齢が進んだ働き蜂幼虫には花粉やハチミツも混ぜたワーカーゼリーも給餌していきます.
養蜂シーズン中は羽化して間もないごく若い働き蜂が育児蜂として働きます.でも早春の巣内でミツバチ幼虫に栄養豊富な食料を与え、世話を焼くのは,前年の秋に生まれて厳しい寒さを蜂球で耐え抜いてきた冬蜂です.冬蜂はよく知られた働き蜂の日齢分業とは異なり,コロニーの求めに応じて内勤から外勤まで多様な仕事をこなせる特性をもっています.