アーモンド農家の中には自分でミツバチを飼養管理する人もいるが,大部分の農家は養蜂家から送粉サービス用の蜂群を賃借している.
その需要に応えるために多くの養蜂家は各地からカリフォルニアをめざして,自分が管理する蜂群を1,000マイル以上長距離移動する.
(時間・労力・経費が嵩み,蜂群が望ましくない高温・低温の環境に長時間閉じ込められる危険もあります)
毎年繰り返されるこの長い旅路の典型的な例では北部グレートプレーンズ(ノースダコタ,サウスダコタ,モンタナ,およびミネソタ)を出発地として,カリフォルニアやさらに次の地域を目指していく.
アーモンドの開花期に合わせて,2017年7月1日から2018年1月1日までの期間中,推計38万4600群が北部グレートプレーンズからカリフォルニアに輸送されていた.
比較的近い西部や太平洋岸北西部からやってくる蜂群もいたが,遙か遠くの北東部や南東部からはるばると移動してきた群もあった.
ある養蜂家はアーモンド花粉媒介のために蜂群を2000マイル以上運んだと報告した.アーモンドと地域の他の作物の送粉をおえると,多くの養蜂家は北部グレートプレーンズに戻り,蜂群を休ませ,ハチミツ生産をめざす.
アーモンドの結実には送粉生物による花粉媒介が必須です.カリフォルニア・アーモンド協会の冊子表紙写真でわかるように,同じバラ科の桃のように多数がほぼ一斉に開花.桃なら熟すまで残される実はごく一部でしょうが,アーモンドでは全部の花が結果することをめざすそうです.大量のミツバチによる集中的な送粉サービスがあってはじめて,アーモンド生産者が望む大量結実が実現できます.
近年は送粉生物にも配慮する必要を認識して,アーモンド生産者団体が会員に蜂群の扱い方を周知するようになり(左の写真),良い写真を今回は数枚拝借いたしました.
以前はポリネーションが終わると,農園内の巣箱移動が終わらないうちに,大型機械で農薬散布をはじめるなど多くの問題がありました.アーモンドだけの単一栽培から樹間に送粉昆虫が生息できる緑地をつくるなどの環境への考慮も見られます.