columnひとみの本棚

おだやかな陽ざしの中、元気に飛び戻ってくるミツバチの羽音を巣箱のそばで聞いたことがありますか? ミツバチやその他のハナバチ類は、日本はもとより世界の多様な自然の中で、その環境を保全し、人々の暮らしを豊かにする働きを担っています。
「Harmony on Diversities」いろいろな植物と動物が、本来のいき方をつづけ、豊かに持続的に、響きあいながら命をつないでいける環境。ミツバチもそんな環境を求めています。ヒトとの関わりがどの昆虫よりも長く多様な、ミツバチとその養蜂について考えてみましょう。

榎本ひとみ
アジア養蜂研究協会(AAA)設立時より21年間事務局コーディネーターを務め、アジア各国(オセアニア、中東を含む)で1994年より隔年開催された大会の準備などで、各国関係者と交流、多様な養蜂事情を学んだ。現在は役員。またAAA会報「Bees for Development Journal」や玉川大学ミツバチ科学研究センター発行の季刊誌「ミツバチ科学」などを通じて、欧米の関係組織とも交流、国際養蜂協会連合(APIMOMDIA)国際養蜂会議に数回出展、参加した。

4月14日, 2019年

アブダビで アピ・アラブ・エクスポ その2

 4月1-2日に,最新農業技術フォーラム(GFIA)がアブダビ国立展示センター(ADNEC)において,アラブ首長国連邦【UAE】副首相・大統領府大臣・アブダビ農業・食糧保証庁長官“シャイフ【シェイク】”・マンスール・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン殿下の後援により,開催されました.
 ミツバチはUAEがこのように大規模な展示会を企画し,農業新技術の導入により国内生産を増やそうとめざしている農産物の花粉交配をにないます.また昔からイスラムの人々に欠かせない甘味の元,ハチミツを生産するのもミツバチです.

 その役割を鑑みて,主催者からの招聘があったのでしょう.アピ・アラブ・エクスポ ApiArab Expo 養蜂展示会も,同会場で開催され,研究発表がアラブ養蜂協会により執り行われ,私はそれに参加するためにアブダビを訪問しました.
 前年にもADNECでGFIAがあり,その中ではじめてアラブ地域のミツバチ・養蜂関係者の集まりがもたれ,国際養蜂協会アピモンディアのマケイブ会長が招かれました.養蜂発祥の地という栄えある地域ですが,現在のアラブ各地の養蜂は多くの問題を抱えていると知った彼は,アピモンディアが後ろ盾となり,アラブの養蜂を全面的に支援しようと約束しました.それで今回は,急逝されたマケイブ会長にかわりコズマス副会長以下,アピモンディア各部会の委員長など,多彩な専門家が多数招かれてアブダビに集結,アピアラブの会議は中身の濃いものになっていました.オーストラリアのアンダーソン博士がアブダビ農業・食糧保証庁に招聘され,当地の養蜂現状をすでに3年間調査しており,その発表で課題の多さがよく分かりました.アピモンディアのアフリカ地域幹事からはアフリカ各国の養蜂経験を,今後もアピアラブと共有する機会がほしいとの要望がありました.
 はじめの写真は開会挨拶をするアピアラブ会長,キング サウド大学のアルガムディ教授です.アジア養蜂研究協会の大会に何度も参加して下さった先生なので,今回のようにアラブの装束で,アラビヤ語を話しておられるのが不思議な感じでした.