4月になり,あたらしい元号が発表されたとき,私は日本の様子が伝わりにくいところにいました.3月31日の夜に成田を発ち,アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに向かったのです.偏西風に逆らって西に向かうフライト.飛行時間は通常よりのびて,12時間以上.延々と夜を飛んで来たのに,到着したらまだ夜中の午前2時前でした.
空港から片側5車線の道路を約20分,途中ライトアップされたモスクやアラブ風らしい建物,砂埃にまみれた街路樹をみるうちに,目的地,アブダビ国立展示センター(ADNEC)に到着.棟続きのホテルにチェックインしようにも,ひたすらつづく美しげな通路があるばかりで,館内地図や,ホテルはこちらと示す矢印の案内はないし,人気も無い.とにかく通路を歩いてみようとしていたら,後から声をかける人がいて,レセプションは2階だからこのエレベーターで上がりなさいと.受付を済ませ入室したのが午前3時すぎ.日本と5時間の時差があり,私の体内時計では午前8時でした.ネット環境を整える余力もなく,仮眠,朝食ののちADNECに向けて長い大理石の通路を歩いていきました.写真の左側で展示会がにぎやかに始まっていますが,何しろこの余裕の敷地面積,全体像がつかめません.
4月のアブダビはまだ灼熱の地ではありません.空港で着陸後タラップを降りてバスに乗るまで,空港ビルを出てタクシーに乗るまで,タクシーからホテルのドアに入るまで,それらのタイミングは夜中だったけれど,確かにかなり暑かった.でもそれは砂漠の乾いた高温.建物内は外気とは無縁な,みごとな冷房.男性はジャケットを着続けていられる,女性も体の線が見えやすいTシャツやドレスなどでなく,ジャケットや長袖で体をくるんでおきたいと思う程度の,全身と頭を覆うアバヤとヘジャブが苦痛にならない,イスラム的に適正な温度なのでしょう.巨大な国立展示場が真夜中にもその適温で冷房され,館内の照明もかなり点灯されたままであったところに,オイルマネーのご威光をみました.