columnひとみの本棚

おだやかな陽ざしの中、元気に飛び戻ってくるミツバチの羽音を巣箱のそばで聞いたことがありますか? ミツバチやその他のハナバチ類は、日本はもとより世界の多様な自然の中で、その環境を保全し、人々の暮らしを豊かにする働きを担っています。
「Harmony on Diversities」いろいろな植物と動物が、本来のいき方をつづけ、豊かに持続的に、響きあいながら命をつないでいける環境。ミツバチもそんな環境を求めています。ヒトとの関わりがどの昆虫よりも長く多様な、ミツバチとその養蜂について考えてみましょう。

榎本ひとみ
アジア養蜂研究協会(AAA)設立時より21年間事務局コーディネーターを務め、アジア各国(オセアニア、中東を含む)で1994年より隔年開催された大会の準備などで、各国関係者と交流、多様な養蜂事情を学んだ。現在は役員。またAAA会報「Bees for Development Journal」や玉川大学ミツバチ科学研究センター発行の季刊誌「ミツバチ科学」などを通じて、欧米の関係組織とも交流、国際養蜂協会連合(APIMOMDIA)国際養蜂会議に数回出展、参加した。

4月14日, 2019年

アブダビで アピ・アラブ・エクスポ その1

 4月になり,あたらしい元号が発表されたとき,私は日本の様子が伝わりにくいところにいました.3月31日の夜に成田を発ち,アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに向かったのです.偏西風に逆らって西に向かうフライト.飛行時間は通常よりのびて,12時間以上.延々と夜を飛んで来たのに,到着したらまだ夜中の午前2時前でした.

 空港から片側5車線の道路を約20分,途中ライトアップされたモスクやアラブ風らしい建物,砂埃にまみれた街路樹をみるうちに,目的地,アブダビ国立展示センター(ADNEC)に到着.棟続きのホテルにチェックインしようにも,ひたすらつづく美しげな通路があるばかりで,館内地図や,ホテルはこちらと示す矢印の案内はないし,人気も無い.とにかく通路を歩いてみようとしていたら,後から声をかける人がいて,レセプションは2階だからこのエレベーターで上がりなさいと.受付を済ませ入室したのが午前3時すぎ.日本と5時間の時差があり,私の体内時計では午前8時でした.ネット環境を整える余力もなく,仮眠,朝食ののちADNECに向けて長い大理石の通路を歩いていきました.写真の左側で展示会がにぎやかに始まっていますが,何しろこの余裕の敷地面積,全体像がつかめません.
 4月のアブダビはまだ灼熱の地ではありません.空港で着陸後タラップを降りてバスに乗るまで,空港ビルを出てタクシーに乗るまで,タクシーからホテルのドアに入るまで,それらのタイミングは夜中だったけれど,確かにかなり暑かった.でもそれは砂漠の乾いた高温.建物内は外気とは無縁な,みごとな冷房.男性はジャケットを着続けていられる,女性も体の線が見えやすいTシャツやドレスなどでなく,ジャケットや長袖で体をくるんでおきたいと思う程度の,全身と頭を覆うアバヤとヘジャブが苦痛にならない,イスラム的に適正な温度なのでしょう.巨大な国立展示場が真夜中にもその適温で冷房され,館内の照明もかなり点灯されたままであったところに,オイルマネーのご威光をみました.