columnひとみの本棚

おだやかな陽ざしの中、元気に飛び戻ってくるミツバチの羽音を巣箱のそばで聞いたことがありますか? ミツバチやその他のハナバチ類は、日本はもとより世界の多様な自然の中で、その環境を保全し、人々の暮らしを豊かにする働きを担っています。
「Harmony on Diversities」いろいろな植物と動物が、本来のいき方をつづけ、豊かに持続的に、響きあいながら命をつないでいける環境。ミツバチもそんな環境を求めています。ヒトとの関わりがどの昆虫よりも長く多様な、ミツバチとその養蜂について考えてみましょう。

榎本ひとみ
アジア養蜂研究協会(AAA)設立時より21年間事務局コーディネーターを務め、アジア各国(オセアニア、中東を含む)で1994年より隔年開催された大会の準備などで、各国関係者と交流、多様な養蜂事情を学んだ。現在は役員。またAAA会報「Bees for Development Journal」や玉川大学ミツバチ科学研究センター発行の季刊誌「ミツバチ科学」などを通じて、欧米の関係組織とも交流、国際養蜂協会連合(APIMOMDIA)国際養蜂会議に数回出展、参加した。

8月10日, 2023年

柔らかく結晶したハチミツとは

 ケン・バスターフィールド氏

クリームハチミツはサラサラなハチミツをブレンダーでかき混ぜてつくりますと,ある新米養蜂家がその客に話すのを聞いた.つまりハチミツに空気を混ぜ込んで,不透明なものにしているというのだ.彼の販売物を見ると,空気の一部がハチミツの上部に浮き上がり,泡状になっていた.しかしこれは本当のクリームハチミツではない.そのまま見逃すこともできたが,白状すれば実は私自身が40年前に同じ誤解をしていたのだ.

ビーズフォディベロップメント誌 112号(Sept. 2014)に掲載された養蜂家・養蜂技術指導者ケン・バスターフィールド氏による記事です.小規模養蜂家でも基礎的な理科知識と手近な器具類をつかって自前のハチミツから上質なクリームハチミツが製造できると,その方法を伝授します.

柔らかく結晶したハチミツ (soft set honey) とクリームハチミツ (creamed honey)という2つの用語の意味で混乱する人が多いだろう.「シーディング/結晶種を入れる」も重要な処理だ.ここでは柔らかく結晶したハチミツの製造技術を明らかにし,養蜂家の皆さんが自分のハチミツから細かく柔らかく結晶したハチミツを作り,魅力的な製品とする過程お知らせしたい.

はじめに

柔らかく結晶したクリーム状のハチミツは結晶ハチミツ(crystallized honey) の1種で,自然な結晶化の過程でかき混ぜることにより,バターのようにナイフでかんたんに塗り広げられる材質にしたもの.クリームドハニーともよばれる.

顧客の多くは,柔らかく結晶した微細で滑らかな結晶サイズのハチミツを好む.しかし自然任せではそのような望ましい結果を確保できない.特に一度結晶を溶かされたハチミツが再び固まると,例外なしに大きく不規則な荒い粒子になる.

結晶の元になるハチミツ (seeding)

必須ではないが,特定のハチミツを細かく滑らかに結晶させたいときに,望ましい結果を誘導するために使う.

ハチミツ販売のポイント

顧客があなたの商品を求めて再来店することを期待するなら,おいしさ,見た目,舌触りを良くしよう.自然に結晶したハチミツがほとんどの客に好まれないのは:

  • たいてい“スプーンを曲げる”ほどの硬さで固まり,容器から削り出すようである
  • 結晶すると体積が減り,瓶のガラス面から離れることが多い.曇ったような部分がガラス面に残されて見た目が悪く,商品価値に不安を抱かせる
  • 結晶結果を調整するのは難しく,好ましい細かな結晶でなく,不規則ながちがちの状態になりがち
  • 瓶中の一部が結晶したハチミツも売れにくい

あなたは自然に結晶化してしまったハチミツをなんとかして売りたいのか?それとも一旦小売りに卸したら,どのように結晶しようが関係ないとの態度で,再注文がなくてもかまわないのか?初めの質問には「そうです」,次の問いには「いやちがう」と答えて,一歩前に進もうではないか.ハチミツを柔らかく結晶させる加工はあなたを救ってくれる!食卓で扱いやすいので速やかに消費され,再注文も早いはずだ.