日本から旅行客が訪れるような観光地はあまりなくて,ノースダコタについて聞くことは少ないですね.アメリカ人にとってもこの州のイメージは厳しい寒さと低い人口密度らしいです.それにもかかわらず,この州のハチミツ生産量は近年大きく生長して,18年連続の全米第1位を誇ります.ノースダコタ州の養蜂は順調なのでしょうか.
まずその背景を見てみましょう.
気候と農業:ノースダコタは冷涼な乾燥した気候で,グレートプレーンズ/大平原として知られる平坦な地形がひろがる.全ての土壌のうち最も肥沃なモリソルが州全域に分布していることから,北米大陸最大の春小麦地帯として栄えて,大陸横断鉄道の時代からダコタ小麦として広く知られた.
現在でも州の面積の87%を農地が占め,農業は州の主産業である.小麦,キャノーラ,コーン,乾燥豆類,大豆,ビーツなどの農作物は国内有数の生産量で,州の経済活動は農業を中核としており,交通機関も農業のために役立っている.
課題と対策:しかし過重な小麦栽培を続けてきたため,ノースダコタ州は土壌浸食の危険性が非常に高い.このため州全体が土地保全政策の対象となった.
合衆国連邦政府が農地を10年間借り上げることで小麦生産から切り離し,土壌の保全を図るという政策で,水路脇の造作,マメ科植物の植え付け,草の植え付けなどが主体となった.化学肥料や農薬も使わない環境再生型農業である不耕起栽培(耕さない農業)の大規模な取り組みは,国内で需要が高いオーガニック栽培として,アメリカの健康食品市場を支えている.
ナショナルグラスランドは農務省長官によって指定された恒久的な保護地である.東のモンタナ州と接し,南北170km,東西80kmの地域が指定され,4000平方km以上の地域に広がる.