
黄色矢印の太さは移動蜂群数に対応する;矢印の曲がり具合は目的地まで直進できず,迂回する輸送経路の状況に対応.ハワイ,アラスカ両州と米国本土間の蜂群移動は明示されておらず,この道路地図では除外した.出典:米国農務省 ERS the USDA, Economic Research Service report, Honey Bees on the Move: From Pollination to Honey Production and Back, June 2021.
米国の商業養蜂家が所有する何十万箱もの蜂群が,カリフォルニアのアーモンド農園で花粉媒介をするために,毎年全米から長距離移動していきます.
2017年1月から2018年1月までの期間にカリフォルニア州への蜂群移動データをまとめた,わかりやすい図が米国農務省ERSから2021年に公表されました.
暖かなカリフォルニアでの蜂群越冬が早春のアーモンド開花に向けて有利と考えられていた時期の動きです.現在は冬は寒く,完全に産卵と育児を休むほうが,有効なダニ対策になるとの考えがあり,蜂群の移動時期に変化が出ているはずです.

アーモンドは早春に開花.加州では低温や嵐が多い時期.限られた良い天気の日に多くの花粉交配が出来るように,大量の蜂群を配置する.写真:Honey Bee BMP 2018より
カリフォルニア産アーモンドはその生産量が飛躍的に拡大した.今やハイキング用行動食やグルテンフリーのケーキにも使われ,ごく身近な食品と言えよう.
2021年に米国のアーモンド総生産価格は50億米ドルを越えたが,そのすべてがカリフォルニアで商業生産されている.
アーモンドの結実は昆虫による花粉媒介に大きく依存し,作物生産量を確保するために,開花に合わせてアーモンド農園に大量動員が可能なミツバチが広く利用されている.