2022年9月8日(木)に英国のエリザベス女王が96歳で逝去され,その後に綿密に計画,準備された錦絵巻のように華麗で盛大な葬礼が執り行われました.日本のニュースではあまり伝えられなかったけれど,その中でウインザー王家の蜂群に対しても,伝統に則った働きかけが成されていました.それが ”ミツバチに告げる(Telling the Bees)” ことです.
西欧では古代からミツバチを身近において利用しました.王侯貴族の館や修道院で蜂群を飼養するのはハチミツの甘さとハチミツ酒を楽しみ,薬の苦さを紛らわすために.また蜂ロウは貯蔵物を密封し,すすが出にくいロウソクで明るく照らすためなどに.金属製の武器を鋳型で成形するためにも,まずは加工しやすい蜂ロウで原型が作られました.
今日でも館の庭園の隅でミツバチは飼養され,イギリス王家の宮殿も例外ではありません.
上の写真はアバディーン養蜂協会の観察巣箱をご覧になる女王(2014年).スコットランド最大の農業祭「タ-リフ ショー」は2014 年に 150 周年を迎え、エリザベス 2 世女王の訪問を受けました。タ-リフはアバディーンシャーの,女王が毎年夏に滞在され,このたび逝去されたバルモラル城にもほど近い町です.農業祭は毎年 8 月の第 1 日曜日と月曜日に開催ということですが,女王の服装からもかなり北方であるとわかります.
イギリスの新聞デイリーメールの臨場感あふれるウェブ記事を米国の雑誌バニティーフェアがぐっとソフトにまとめていましたが,ここでは養蜂関連のデイリーメール記事を補いつつご紹介しましょう.
ご逝去の翌日に,宮殿の養蜂担当者ジョン・チャップル氏には密かに行うべき悲しい一連の伝統的作業がありました.バッキンガム宮殿と皇太子の住まいであるクラレンスハウスで飼われている蜂群に女王の死を伝えるのです.